関節リュウマチは症状が進むと関節部の関節の変形を起こします。 これは足にも見られ、外反母趾や、ハンマートゥ等、様々な足の変形の原因となります。 日本での患者数は70〜100万人、その名前自体は一般によく知られた病気ですが、 実態について詳しくは知らないという方も多い病気だと思います。 関節リウマチは全身の関節に炎症が見られる病気で、長い時間をかけて全身の関節に炎症が広がっていきます。 高齢者の方に多いと思われがちですが、その発症は25歳以後に多く、ピークとなるのは30〜40代です。 この病気はまだ、その病気の仕組みに関しては分かってきていますが、 その根本的な完全までは解明されておらず、抜本的な治療法はなく、長く付き合っていかなければならない病気です。 そうした面からも高齢者に多いといったイメージが付いたのではないでしょうか。
■痛みの原因は炎症
なぜ痛みがあるのでしょうか。関節リウマチは、関節を滑らかに動かすための関節液を作り出す組織である滑膜に慢性的な炎症が起こり、関節に痛みや腫れが生じる病気です。 この炎症と言う状態は、体の一部が障害を受けたとき、それを修復しようとして働く反応です。
■炎症を起こす原因は免疫の異常
では、なぜ炎症が起きるのでしょうか。関節リウマチの場合、そこには免疫と呼ばれる体の防衛機構の影響があると言われています。 免疫とは、体内に侵入してくるウイルスや細菌とたたかう仕組みのことです。 免疫を司る免疫細胞は異物と排除しようと攻撃しますが、これが何らかの原因で異常をおこし、本来守るはずの体、この場合は 関節の滑膜を攻撃するのです。この結果炎症が起こるのです。
■炎症は変形を生み出します
関節が炎症を起こすと滑膜の細胞と炎症を起こしている細胞は増殖します。 そしてこれらの細胞は炎症性の浸出液を排出します。この排出液はよく「水」とたとえられ、「ひざに水が溜まった」という状態をつくります。 ひざの水、炎症性の浸出液の中には関節の軟骨を溶かそうとする有害物質が含まれています。 滑膜炎が続いている状態では、膝のクッションである軟骨は有害物質を含んだ炎症性の浸出液から栄養を受けることになります。 次第に弱っていき、運動時の摩擦も加わり消えていきます。 軟骨が消えると、増殖した滑膜組織は骨の中へと進入し、滑膜細胞から放出される物質は骨により骨はむしばまれ、そして変形が起こります。
■根本の原因はいまだに不明
以上が関節リウマチの起こる仕組みですが、免疫の異常がなぜ起こるか、その原因は現在もまだわかっていません。 遺伝、ウィルス、ストレス、出産、様々な要因が複雑に入り組んでいるとも言われ、日々研究が続けられています。
- 関節リュウマチの痛みの原因は炎症
- 炎症を起こす原因は、本来体を守るはずの免疫機能が異常をおこし、滑膜を攻撃する為におこる
- 変形は、炎症を起こした組織が、軟骨や骨を破壊することによっておこる
- 免疫機能の異常がなぜ起こるか、諸説ありますが、その根本的な理由はまだ判明していません。
■関節リュウマチの進行はゆっくりとすすみます。
関節リウマチの症状はゆっくりと進みます。 ごく初期には、疲れやすい、だるい、食欲がないなどとまるで風邪のような症状が続きます。 朝起きたときに力が入らず、ボタンを結ぶことすらできない。手や手首の関節が腫れて痛みます。 この関節の腫れは、左右対称の関節に現れ、特徴的です。痛みとともに症状は広がっていきます。
■進行具合で、痛みの原因や状態が全く変わってきます。
初期の痛みは、滑膜の炎症からくるものですが、病気が進み軟骨や骨が破壊されれば、血流が悪くなり、 その血流の悪さが痛みの原因にもなります。骨格が変形すれば、筋肉の状態も変わり、筋肉痛や変形した部位が 靴などに当たる事での痛みも増えてきます。天候など、湿度や気圧、温度による症状の差も激しく、些細な変化を痛みが敏感に察知するので 体の症状が天気予報より正確に天候を察知するとも言われることもあります。
■関節リュウマチと足の症状
足に見られる関節リウマチの変形は中足趾節関節での炎症が多く、外反母趾、内反小趾、ハンマートゥなど趾の変形がよくみられます。 また、足骨格のアライメント(足の正常な骨の配置)が徐々に崩れてくるので、内側縦アーチが破綻した扁平足となり、 同時に踵の外反変形が生じて、足底部に胼胝がよくみられるようになります。 そのほかにも足底腱膜炎、アキレス腱周囲炎、滑液包炎なども生じやすく、関節リウマチのほとんどの方には足のお悩みが尽きません。
- 関節の痛みとこわばりが始まり、関節が腫れて熱を持ちます
- 症状が進むと関節や骨の破壊が起こり、足の変形や関節の炎症により、歩行が困難になります
- 関節の破壊により、様々な足の変形が起こってきます。
関節リウマチをお持ちの皆様が、本当に靴選びに苦労しているのを実感します。 痛みやはれのため、そして症状の進行具合によりますが変形により、規制靴の多くが足に合わない状態です。 足の裏はタコやウオノメに悩まされ、外反母趾、ハンマートゥなどの指の変形、偏平足などの足のアライメントの崩れの状態は非常につらく、 屋外に出るのもままならないような状態が生まれます。 関節リウマチの足に対して、明快な解答はありません。病気の進行状態や、個人個人によって足の状態は非常に様々なのです。 ただ言えることは、規制の靴を自分の判断で履くようなことはせず、しっかりとご自身の足の状態を把握したうえで、足にあった靴を履いていただきたいということです。 ひとりひとりの足に合った。こまやかな調整がなによりも大切だと考えていますので、まずはご相談ください。
- 足を計測し、足のサイズ、幅、特徴にあった靴を履くのがなにより望ましい
- 足の症状に合わせて、規制の靴を調整する
- 足に合った調整を行ったセミオーダーシューズ、フルオーダーシューズを製作
- ヒールの高い靴は履かない。高くて2〜3cm程度を目安に
- 土踏まずの部分や踵など足をしっかりサポートする足を支え、負荷を軽減するオーダーインソール
- 軽い靴を望まれる傾向がありますが、靴としての機能をしっかり持った適度な重さの靴が良い