脚長差とは、文字通り、左右の脚の長さに差がある状態の脚のことです。 人間は非対称の生き物であり、正確に言えば個々人の状態で、若干の脚の長さに差はあります。 左右の脚の長さの差が、歩行や日常生活に支障が出るほどの場合、インソールでの調整や靴での高さの補正、 「補高」をすることにより状態の改善を目指すことも可能です。
脚長差を生む原因は様々で骨の変形が進んだり、人工関節や自骨の手術後に生じることもあります。 生まれたときから股関節の脱臼、また片側の成長のみが足りない状態での、脚長差を持っている方もいます。 脚長差が最も見られやすいのは、変形性関節症になり脚長差が生じている方が最も多く見られます。 足部の変形などが、高さの違いを生むこともあります。 交通事故での大腿骨骨折、ポリオの後遺症として下肢が短くなっている事もあります。
- 人工関節や自骨の手術後の後遺症
- 先天性股関節脱臼、また成長過程の片側お足だけの成長不全
- 変形性症関節炎、関節リウマチ
- 足部の変形によって生まれる脚長差
- 大腿骨骨折、ポリオの後遺症
脚長差のある方の歩き時に特徴として、上体の横揺れ、とくに肩が左右に揺れや、お尻を引いたような姿勢での歩行が見られます。 また、長いほうの脚には短いほうの脚よりも荷重が大きくかかっていて、関節や筋肉の痛みなどがあることもあります。 立った時には骨盤が左右に傾きますから、脊柱が変形します。 例えば股関節の病気で脚長差があると腰が痛む事が多く、股関節性の腰痛と呼ばれます。 若い時には感じないのですが、多くは30から40歳以上になると腰痛が出始めます。 短い側の下肢で立っている時につま先立ちになり指の付け根にタコができます。 ご本人が、脚長差にまったく気づいていない事があります。姿見など大きい鏡で見て、片方の肩が下がっている場合には整形外科でレントゲン写真を撮って原因を調べてもらうようにお奨めします。
- 大きな脚長差は、骨盤傾斜を引き起こす。結果として脊柱の歪みや脚部、足部の関節にずれが生じる
- 長いほうの脚は、短いほうの足に比べて使用率が高いために、関節や筋肉の痛みが見られる。
- 脚長差は、骨盤の傾斜や腰痛の原因となりえる
脚の長さが左右違う場合、靴や中敷きによる、高さの補正を行うことが出来ます。 この高さの補正のことを「補高」と言います。 若干の差ならば、歩行には問題がありませんが、関節の動きや筋肉など、さまざまな要因が重なる為、一概にすべての脚長差に補高が必要なわけではありません。 左右の脚の差分を単純にその分補高してあげれば良いというものではなく、調整は非常に繊細で難しいものです。 補高した状態で左右の骨盤の高さが同じようになるようにするのが望ましい状態なのですが、 脚差がありすぎる場合にいきなり同じ高さへと調整するとバランスを崩しやすく良くありませんので、徐々に高さを合わせるようにするとよいでしょう。 また、4〜5cmの高さを補う調整の場合は、その高くなった分、不安定になりやすいので、踵部分にフレアーヒール加工を用いるなど 安定性を考慮した靴加工が望ましく思われます。こうした構造を得ないと、捻挫や転倒の原因になりやすく注意が必要です。
- 中敷きによる脚長差調整
- 靴底による脚長差調整